受験生向け研究绍介
巽 広輔
理学科 化学コース 分析化学分野
せはしく明灭する有机交流电灯
现在の研究テーマ:电気化学测定法にもとづく生体関连反応の解析
1. 液液界面電子移動ボルタンメトリーの基礎研究
液液(油水)界面电子移动ボルタンメトリーは,たがいに混じり合わない有机溶媒と水との间の电位差を制御することにより,それぞれの溶媒中に加えた酸化还元物质间の电子移动反応を电流として観测するもので,近年このような电子移动系と生体膜を介した电子移动系との反応速度の相関が论じられるなど,生体内电子移动反応のモデル系として注目されています。しかしながら,これに适用できる酸化还元物质は现在のところあまり多く见出されていません。私たちは,ある鉄化合物を有机溶媒中の酸化还元物质として用いることにより,ヘムやヘムペプチドといった生体関连物质が液液界面电子移动ボルタンメトリーに适用できることを见出しました。
また,界面での电子移动反応の机构についても解析を行なっています。有机溶媒中のフェロセンという化合物と水中のヘキサシアノ鉄酸イオンとの电子移动反応については,フェロセンの水への移动,水中での电子移动反応,生成したフェロセン酸化体の有机溶媒への移动からなる机构により进行していることを明确に示しました。一方,有机溶媒中の酸化还元物质をあるルテチウム错体に替えると,こちらは文字どおり界面で电子移动反応が进行していることが明らかになりました。今后は他の酸化还元物质についても検讨を行ない,それらの构造と反応机构との関係を明らかにしたいと考えています。
また,界面での电子移动反応の机构についても解析を行なっています。有机溶媒中のフェロセンという化合物と水中のヘキサシアノ鉄酸イオンとの电子移动反応については,フェロセンの水への移动,水中での电子移动反応,生成したフェロセン酸化体の有机溶媒への移动からなる机构により进行していることを明确に示しました。一方,有机溶媒中の酸化还元物质をあるルテチウム错体に替えると,こちらは文字どおり界面で电子移动反応が进行していることが明らかになりました。今后は他の酸化还元物质についても検讨を行ない,それらの构造と反応机构との関係を明らかにしたいと考えています。
2. 電気化学測定法にもとづく糖質加水分解酵素反応の速度論的研究
アミラーゼ,セルラーゼといった糖质加水分解酵素は,実用目的で生产されている酵素の大部分を占め,农产?食品加工,医薬,繊维工业などにおいて幅広く利用されています。また近年,环境?エネルギー问题への関心の高まりの中で,バイオマスが再生产可能なエネルギー资源として注目され,糖质加水分解酵素はバイオマス高度利用のための键となる酵素としても期待されています。
酵素の机能评価のためには反応速度论的研究が不可欠ですが,従来の研究ではこれらの酵素は,反応速度の测定?解析のしやすさなどの理由から,基质(反応物)と酵素がともに水に溶けている系で扱われることがほとんどでした。一方でこれらの酵素は,天然でも,また各种工业プロセスにおいても,溶けない基质の表面で作用することが多く,従来の测定结果だけにもとづく机能评価はかならずしも十分でないと考えられます。
电気化学测定法の利点の一つとして,试料溶液の浊度や着色の影响を受けないことが挙げられます。酵素反応の生成物が测定できるような电极を用いれば,デンプンやセルロースといった溶けない基质の悬浊液についても,直接かつ连続的に酵素反応を追跡することができます。これまでに私たちはこの方法にもとづき,各种多糖の酵素的加水分解反応の速度论的研究を行なってきました。今后はさらに対象を広げて研究を进める予定です。
酵素の机能评価のためには反応速度论的研究が不可欠ですが,従来の研究ではこれらの酵素は,反応速度の测定?解析のしやすさなどの理由から,基质(反応物)と酵素がともに水に溶けている系で扱われることがほとんどでした。一方でこれらの酵素は,天然でも,また各种工业プロセスにおいても,溶けない基质の表面で作用することが多く,従来の测定结果だけにもとづく机能评価はかならずしも十分でないと考えられます。
电気化学测定法の利点の一つとして,试料溶液の浊度や着色の影响を受けないことが挙げられます。酵素反応の生成物が测定できるような电极を用いれば,デンプンやセルロースといった溶けない基质の悬浊液についても,直接かつ连続的に酵素反応を追跡することができます。これまでに私たちはこの方法にもとづき,各种多糖の酵素的加水分解反応の速度论的研究を行なってきました。今后はさらに対象を広げて研究を进める予定です。
高校生へのメッセージ
化学の道に进んだ理由
高校生のころは,だれでも多かれ少なかれ进路や人间関係などのことについて悩むものだと思いますが,私自身は高校时代に何をしていたかと问われれば「悩んだ」としか答えられないほど,よく悩み,よくくよくよしました。それにたいする解决策(悪あがき?)のひとつとして,いろいろなジャンルの本を読みました。それらのなかに,宫沢贤治の诗集と童话がありました。なかでも诗集「春と修罗」は,何について书いてあるのかわからない部分もたくさんありましたが,そこに描かれている世界が当时の私にはとても美しく感じられ,毎日通学カバンの中に入れていました。そしてしだいに,彼の书いたものだけでなく,彼の生き方にも兴味をもつようになっていきました。
宫沢贤治は,盛冈高等农林学校(现岩手大学农学部)で农林化学(农芸化学)を学びました。彼の着作の中に出てくる化学の専门用语は,そこで得た知识と経験が基になっています。农林学校卒业后は,农学校教师や农业指导者として农业とかかわるかたわら,多くの诗と童话を着しました。当时の私は彼のその素朴で清らかな生き方につよく憧れ,「サウイフ者ニワタシハナリタイ」(雨ニモマケズ)と思うようになりました。そして,彼と同じように农学部农芸化学科へ进学しました。
进学后も,彼と同じように农芸化学科内の土壌学を志望していたのですが,学年が上がって専门科目の讲义が始まったとき,ちょうど土壌学の先生が定年退官され,また后任の先生も决まらず,土壌学の讲义が开讲されないという不运な事态が生じました。その分野に憧れてきた私としては,やる気をそがれる格好になりました。しかしせっかく苦労して志望学科へ入ってきたのだから,ここでこれだけは学んだと胸を张って言えるものを一つぐらいは身につけないともったいない,という気になり,土壌学に代わる何かを探しました。専门科目の讲义にひととおり出席してみて,いちばん兴味がもてそうな讲义をしてくれた先生の研究室へ进みました。「细胞物理化学」という名前の研究室でした。当初希望していた分野からは离れましたが,生化学,电気化学,分析化学を基础として生体関连反応に幅広くアプローチするという研究内容に兴味をもちました。比较的自由にいろんな事にチャレンジさせてもらえたので,极端にいえば「细菌を培养する待ち时间に微分方程式を解く」ような研究生活を楽しむことができました。结局,その研究室で卒业论文,修士论文,博士论文の研究をし,それが私の今の仕事につながりました。
宫沢贤治は,盛冈高等农林学校(现岩手大学农学部)で农林化学(农芸化学)を学びました。彼の着作の中に出てくる化学の専门用语は,そこで得た知识と経験が基になっています。农林学校卒业后は,农学校教师や农业指导者として农业とかかわるかたわら,多くの诗と童话を着しました。当时の私は彼のその素朴で清らかな生き方につよく憧れ,「サウイフ者ニワタシハナリタイ」(雨ニモマケズ)と思うようになりました。そして,彼と同じように农学部农芸化学科へ进学しました。
进学后も,彼と同じように农芸化学科内の土壌学を志望していたのですが,学年が上がって専门科目の讲义が始まったとき,ちょうど土壌学の先生が定年退官され,また后任の先生も决まらず,土壌学の讲义が开讲されないという不运な事态が生じました。その分野に憧れてきた私としては,やる気をそがれる格好になりました。しかしせっかく苦労して志望学科へ入ってきたのだから,ここでこれだけは学んだと胸を张って言えるものを一つぐらいは身につけないともったいない,という気になり,土壌学に代わる何かを探しました。専门科目の讲义にひととおり出席してみて,いちばん兴味がもてそうな讲义をしてくれた先生の研究室へ进みました。「细胞物理化学」という名前の研究室でした。当初希望していた分野からは离れましたが,生化学,电気化学,分析化学を基础として生体関连反応に幅広くアプローチするという研究内容に兴味をもちました。比较的自由にいろんな事にチャレンジさせてもらえたので,极端にいえば「细菌を培养する待ち时间に微分方程式を解く」ような研究生活を楽しむことができました。结局,その研究室で卒业论文,修士论文,博士论文の研究をし,それが私の今の仕事につながりました。
大学进学に向けてのアドバイス
私が信州大学へ来る前に勤めていた大学の学长がよく言っていた言叶です――「生きるということは自由度を失うことだ。生まれたての赤ちゃんはたくさんの自由度をもっており,何者になるのかわからない。しかし成长し,进路を决定したり职业を选択したりするたびに人は自由度を失う。そして最后にはすべての自由度を失って,墓石へと凝り固まる。」――。生きるということのひとつの侧面を的确にとらえた,生物学者らしいおもしろい表现だと思います。
みなさんがいま直面している大学进学もまた,自由度を失う大きな机会です。文系を选択するか,理系を选択するかによってさえ,大学生生活や就职してからの生活が大きく违ってきます。ですから十分情报を収集し,よく考えてから进路を选んでください。しかし一方で,大学に进学した后でも进路を选択する自由度は残されています。あまりころころと进路を変えるのは,ただ无駄に自由度を捨てるだけのことになってしまうので勧めませんが,多くの大学には编入,転学部,転学科の制度がありますので,进んだ先でどうしてもだめだったら,别のところへ进むことも可能です。いずれにしても,そのように进路を选ぶ过程で,みなさんが自分自身の适性を见きわめ,自分に合った道へ进むことを期待しています。
みなさんがいま直面している大学进学もまた,自由度を失う大きな机会です。文系を选択するか,理系を选択するかによってさえ,大学生生活や就职してからの生活が大きく违ってきます。ですから十分情报を収集し,よく考えてから进路を选んでください。しかし一方で,大学に进学した后でも进路を选択する自由度は残されています。あまりころころと进路を変えるのは,ただ无駄に自由度を捨てるだけのことになってしまうので勧めませんが,多くの大学には编入,転学部,転学科の制度がありますので,进んだ先でどうしてもだめだったら,别のところへ进むことも可能です。いずれにしても,そのように进路を选ぶ过程で,みなさんが自分自身の适性を见きわめ,自分に合った道へ进むことを期待しています。
私の授业内容
分析化学演習Ⅱと生物化学を担当しています。前者では分析化学関係の学術論文を題材に,論文の読み方,書き方についてのトレーニングを行ないます。また後者では生物の体を構成する物質の構造と働きについて授業します。 ここは教員数に対する学生数が少なく,指導する側としては学生ひとりひとりに目が行き届きやすいので,その分できるだけ学生と対話する時間を多く取りたいと考えています。オストワルド著「化学の学校」(都築洋次郎訳,岩波文庫。とくに化学系志望のみなさんには一読をお勧めします。)のような授業が私の目標です。

卒业研究発表会より