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受験生向け研究绍介

樋口 雅彦

理学科 物理学コース 物性理論分野

物质の神秘を解き明かす

现在の研究テーマ:物性物理学とは
物质は,それを构成するたくさんの原子核や电子が复雑に络みあうことによって多様な性质を示します。物质のさまざまな性质を,力学,电磁気学,热力学,统计力学,量子力学などを用いて解き明かす学问を「物性物理学」と言います。

物性物理学の醍醐味は,アンダーソン博士(1977年ノーベル物理学賞)の言葉「More is different」に集約されると思います。この言葉をわかりやすく言い換えれば,「素性のわかった粒子でもそれがたくさん集まると驚くべき現象を起こす」となります。素粒子物理学とは違い,物性物理学の基本粒子は素性の(比較的よく)わかった原子核と電子です。しかしこれらがたくさん集まると,お互いに複雑に絡みあい,びっくりするような現象を引き起こすのです。われわれに身近な具体例としては,「超伝導」や「磁性」と呼ばれる現象が挙げられます。前者は物質を冷やすと電気抵抗が完全にゼロとなる現象で,電子と原子核の運動が調和をした結果あらわれます。ひとつの原子核や電子だけでは到底起こりえない現象です。後者は読んで字の如く,磁石の性質に関連した現象です。これもたくさんの原子核と電子が絡みあいそして協力して磁石となります。

たくさんの粒子が集まるとなぜこのような现象が起こるのでしょうか?またこのような现象をわれわれの生活に还元できないのでしょうか?物性物理学はこのような基本的な疑问や兴味に答えを出そうとする学问です。
図1 复雑に络みあう物质中の粒子
図2 物性物理学とは
研究分野の周辺
前述したように,物性物理学の面白味は复雑に络みあうたくさんの粒子が示すある种普遍な现象にあります。そのからくりを解き明かすのは一筋縄ではいきません。なぜならば,あまりに莫大な数(1023个程度)の原子核と电子が络みあって诸现象を発现しているからです。ではどのようにして切り込めばよいのでしょうか?

ひとつの理论的な糸口が1960年代にコーン博士(2002年ノーベル化学赏)によって与えられました。アイデアは极めてシンプルで,现実の物质と一対一に対応するバーチャルな物质(仮想物质)を用意し,その物质で现象を论じようというものでした。すでに述べてきたように,现実の物质は莫大な数の粒子が络みあう复雑なものですが,バーチャルな物质では络みあいのないバーチャルな粒子を用意し,问题を解ける形にすり替えました。この问题のすり替えには数学的に精巧な议论が用いられ,その完全な証明には20年近くも要しました。ともかく,复雑怪奇な现象のからくりを解く糸口が见つかりました。现在までの间,この理论はさまざまな物质に适用され有効性が実証されてきました。その功绩でコーン博士は(约40年后に!)ノーベル赏を受赏したわけです。

最近になり,コーン博士のこの理论にはかなり柔软性があることがわかってきました。すなわち,コーン博士の理论を一般化すれば,扱える现象の种类や范囲が格段に広がることがわかってきました。対象とする现象に応じてバーチャルな物质をうまく用意すれば,オーダーメードのように有効理论が出来上がるというわけです。物性物理学の研究の最前线は広范多岐にわたっています。これら最前线で见られる诸现象を同源の一般化された理论で扱えるかもしれません。さきに述べた超伝导,磁性も然りです。

私は,物质の神秘を解き明かすこのような一般化理論の構築に取り組んでいます。
図3 バーチャルな物质へ"すり替える"
図4 一般化バーチャル世界へ向けて
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